慰謝料とは
精神的苦痛に対する損害賠償のこと
慰謝料とは、離婚原因となった相手方の行為により精神的苦痛を被った場合に請求できる損害賠償金のことを言います。
「離婚原因となった相手方の行為」はDVや不倫などが代表例です。
「離婚=慰謝料請求可能」という訳ではありません
慰謝料が認められるのは、DVや不貞行為など相手方の行為が違法であることが前提となります。
従いまして、離婚原因に相手の違法行為がない場合、慰謝料は認められません。
例えば、単なる性格の不一致だけでは慰謝料を請求することは難しいと言えます。
ただし、この場合でも別途、財産分与は請求できますので、ご安心下さい。
第三者に対しても請求できます
第三者の行為が原因で離婚に至った場合、その第三者に対して慰謝料を請求することができます。
例えば、不倫の場合、不倫相手が既婚者であることを知りながら交際しているときはその不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
ただし、配偶者が関係をしつこく迫った等特別な事情ある場合、夫婦関係が既に破綻した後で関係をもった場合、
配偶者からすでに十分な慰謝料を受け取っている場合などは認められないこともありますので、ご注意下さい。
慰謝料の基準
千差万別!?
夫婦の合意で決まります。合意できない場合、裁判手続きで決定していくことになります。
精神的苦痛は客観的に見てもそれぞれの事情によって異なりますので、裁判所で一般的な明確な基準はなく、個々の詳細の事情に応じて判断されます。
判断に際しては以下のポイントが考慮されます。
1. 離婚の有責性、信義誠実の程度(背信性)
2. 精神的苦痛の程度
3. 婚姻期間
4. 当事者の社会的地位、支払能力
5. 未成年の子の存在
6. 離婚後の扶養
財産分与との関係
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚の際に分けることを言います。
従いまして、慰謝料が請求できない場合でも財産分与を請求することができます。
また、慰謝料を請求できる場合においては、慰謝料と財産分与を同時でも別々でも請求することができます。
従いまして、財産分与が支払われたからと言って、慰謝料は請求できるなくなる訳ではありません。
具体的な事情に応じて、財産分与の内容では精神的苦痛を慰謝するのに足りない場合、別途慰謝料を請求することができます。
慰謝料請求の手続
配偶者に対する請求方法
離婚や財産分与と同様に夫婦の話合いで決めます。話合いでまとまらない場合は調停、調停でまとまらない場合は裁判で決定することになります。 離婚と同時に行うことも離婚の後に行うことも可能です。
第三者に対する請求方法
第三者に対しての慰謝料は離婚手続きとは別に請求することができます。
まずは話し合いですが、後の裁判手続きに備えて、内容証明郵便を利用して、こちらの請求を明示した手紙を送るのが一般的です。
話合いでまとまらない場合は調停、調停でまとまらない場合は裁判で決定することになります。
調停、裁判は第三者だけを相手として進めることも第三者と配偶者をまとめて相手方として進めるこもできます。
3年で消滅!?
慰謝料は、違法行為と違法相手を知った時から3年又は違法行為のときから20年たつと時効により請求することができなくなります。 ただし、既に話し合いで金額が確定しており、相手方が支払わない場合は別です。